■ ご挨拶 ■

 日本周産期メンタルヘルス学会は、2004年に日本周産期メンタルヘルス研究会として発足し、その後会員の皆様のご尽力による11年間の学術活動を経まして、2014年11月に学会へと昇格しました。2014年12月より理事長を拝命いたしましたこと、大変光栄に思っております。理事長を継続して引き継ぐに当たり、ご挨拶申し上げます。

 周産期のメンタルヘルスという領域は、古典的にはヒポクラテスの記載にあるように紀元前の時代に注目されていましたが、本格的にこの分野の学会活動が開始されたのは、英国でMarcé societyという学会が設置された1980年以降のことです。この学会は、周産期に関与する多種職の会員から構成されて、分娩前後の女性のみならず乳幼児、配偶者という家族全体のメンタルヘルスを包括的に研究すること主旨として今日まで、この分野の学術活動を主導してきまいた。
 本学会の会則においても、「医療保健福祉従事者が集まり、周産期の母子のメンタルヘルスに関する様々な問題を研究する学術団体である」ことを目的と明記したように、日本のMarcé Societyのような活動をめざしております。今日、会員には精神科医のみならず、産婦人科医、小児科医、助産師、保健師、看護師、臨床心理士、薬剤師、人文科学など多職種の方々から構成されています。そして、メンタルヘルスに関した研究内容は、医療機関を核とした院内リエゾン活動から地域における医療保健福祉領域のエゾン活動までの広範囲な領域を含んでいます。また、母親の心の病気が乳幼児に与える影響なども重要な課題となるでしょう。さらに、生殖医療の進展ともに多胎治療、不妊治療、出生前診断などの新たな課題が生じて、倫理的な問題に対するメンタルヘルスも今後の重要な課題となるといえるでしょう。
 研究活動については、年1回開催される本会学術集会では、患者さんや家族が抱える様々な周産期の心の病態に対して最適なケアを求めて、一般演題、特別講演、教育講演、事例検討会、シンポジウムなどを通して会員が活発な討論を重ねてまいります。また、会員向けには教育・研修会を開催して、臨床実践の水準が向上できるように努めています。今年度からは本学会の機関紙として「日本周産期メンタルヘルス学会学術誌」の刊行を実施いたします。

 本学会の特徴の一つは、看護、産婦人科、精神科という3領域から輪番制にして、学術集会を開催していることです。周産期のメンタルヘルスは、幅広い領域を網羅するため、専門以外の基本的な知識や情報が不可欠です。今後も、こうした領域を超えた学会運営を通して、周産期メンタルヘルスための相互連携の強化に向けて邁進することを目標にしてまいりたいと存じます。

 本学会の会員の皆様のご意見を伺いながら本学会の発展に尽力する所存ですので、これまでにも増して本学会への温かいご支援を心よりお願い申し上げます。

2014年12月吉日    

三重大学保健管理センター
岡野禎治